ヴォーリズ建築の「アンドリュース記念館」と「ウォーターハウス記念館」
=5月6日までの 土・日・祝日 近江八幡観光物産協会=
アンドリュース記念館(為心町中)
近江八幡市の旧市街地に保存されているヴォーリズ建築の「アンドリュース記念館」と「ウォーターハウス記念館」の一般公開が始まった。ともに国登録有形文化財。
同市内には、住宅や公共施設など二十棟余りのヴォーリズ建築物が残っているが、一般公開されているのは期間限定も含め、旧八幡郵便局、郷土資料館、旧伊庭家住宅の三棟(八幡教会は除く)で、そのほとんどの建物は、文化財としての管理や維持などの問題から内部の公開はされていない。
しかし、近年、ヴォーリズ建築を目的に来幡する観光客の間から内部の見学を望む声が多く寄せられるようになり、建物を所有保存している公益財団法人・近江兄弟社から両記念館を公開する申し入れが近江八幡観光物産協会にあり、協議の末、観光ボランティアガイド協会やびわこビジターズビューローの協力を得て期間限定で一般公開することにした。今後は、ようすを見て秋の観光シーズンにも公開を検討する。
為心町中にあるアンドリュース記念館は、ヴォーリズがキリスト教信者に導いた大学時代の親友、アンドリュース氏の死後、氏を記念して一九〇七年(明治四十年)に建てられたヴォーリズ建築最初の建物で、建設当初は「アンドリュース記念近江八幡基督教青年会館(YMCA)」として使われた。現在の建物は、一九三五年(昭和十年)に隣接地に改修移築された。
ウォーターハウス記念館(池田町)
内部の記念室は「祈りの部屋」と呼ばれ、ヴォーリズが過ごした書斎と小部屋は当時のまま保存されている。
池田町のウォーターハウス記念館は、ヴォーリズ合名会社が一九一三年五月、社宅として建てたアメリカの伝統的な建築様式であるコロニアルスタイルを伝承する三階建て住宅。内部に十一室もの部屋、ビルトインタイプの暖炉が五か所に備えられている。早稲田大学の英語科講師として来日したウォーターハウス氏が一旦帰国後、夫婦で再来幡し、同年十月に入居。帰国するまで約六年間を過ごした。
近江兄弟社は、建築から百年を迎え、老朽化が目立っていたため全面改修を行い、二〇〇九年一月に建設当時の姿が甦った。アメリカらしい建物外観や洋館街の中でひときわ目を引く外観の美しさなどから見物客が多い。
いずれも開館期間は五月六日までの土、日、祝日。時間は午前十時~午後四時まで。入館料は二館で三百円(一館の場合は二百円)。内部の公開は一部に限られている。