あづち信長まつり その2 段ボール安土城 築城せよ!
復元に挑戦 6月プレイベント
「幻の安土城をみんなでつくろう」―。1579年に織田信長によって築城された「安土城」を”段ボール“で復元する壮大な企画が立ち上がった。6月にプレイベントを行い、最終的には実物大の45メートルの安土城復元を目指す。このほど結成した市民団体「段ボール安土城製作委員会」は「いろんな人に来てほしい」と、参加を呼びかけている。
■映画に触発され、製作委立ち上げ
きっかけは、昨年夏に公開された映画「築城せよ!」(古波津陽監督)。江戸時代の武将が現代に復活し、町民が協力して段ボールで城を建てることで町が盛り上がっていく物語だった。
映画を見た委員会代表の県職員松田千春さん(44)=大津市杉浦町=は「安土城は図面が残っておらず、復元が難しいとされるが、段ボールなら幻の城も形にできるのではないか」と、知人に声をかけ、安土町商工会会員や段ボール会社社員など12人で委員会を立ち上げた。
4月初めの初の会合には旧安土町の住民が加わり17人が集まった。本格築城の方向性や費用、プレイベントについて議論した後「築城せよ!」を鑑賞。「安土城をこの目で見よう」とメンバーは士気を高めた。
プレイベントは6月6日に行われる「あづち信長まつり」で催す。段ボール箱を積み上げて安土城天主の最上部の八角形の部分を造る作業を、まつりに訪れた子どもに行ってもらう。
イベントと製作委員会の参加希望者は安土町商工会TEL0748(46)2389の野瀬信弘さんへ。
(2008年10月12日 中日新聞朝刊県内版より)
名古屋市のオフィス街に今年5月、2層の名古屋城天守閣が突然現れた。高さ約4.5メートル、幅約5メートル、重さ約1トンの段ボール製。作ったのは、愛知工業大で建築を学ぶ学生たちだ。
同大の開学50周年記念の映画制作に関連して08年、学生たちは安土城をモデルに段ボールの城を作った。人が入っても壊れないよう、強度を工夫した。
その経験を生かし、学部生と院生の20人ほどが09年4月から約1カ月で名古屋城を作り上げた。4年の野下将太郎さんは「作る前は『できるのか』という思いが強かった分、喜びは大きい」と振り返る。修士1年の森茂博さんは「建物を造る疑似体験は十分できた」。
段ボールを使った物づくりは授業にも採り入れている。学部2年生が、いすなどの家具類を作る。担当の武田美恵講師は「可能性は無限大です」。城制作を指導した尾形素臣教授は「実際に建物を造る経験ができ、学生は自信を持つ」と成果を話す。災害などの際の避難所で活用する研究も進められている。(永友茂則)
名古屋城に使われた段ボールは1メートル×2メートルが約千枚。厚さは多くが7.5ミリ。20枚重ねるなどして強度を確保し、人が乗っても壊れない。尾形教授は「鉄も紙も重さが同じなら、強度は同程度」と言う。
来年の創立50周年記念事業として映画制作に取り組む愛知工業大学(豊田市八草町)で、映画用の段ボールの城の試作品が完成し、学生が11日の大学祭で披露した。
完成した城は高さ4・1メートル、幅2・8メートル。安土城をモチーフに、畳サイズの段ボール約1000枚使って望楼型の天守閣を造った。中に人が入ることもでき、約2トンの重さまで耐えられるという。建築研究会の学生20人が4月から、強度実験や制作を続けてきた。研究会の高木章広さん(21)=建築学科4年=は「細かい部分も再現できた」と胸を張る。
試作品の城は12日も午前10時すぎから展示される。映画を撮影する「築城せよ!」製作委員会が造る城は高さ20メートルになる予定で、今月末に完成させるという。