安土町閉庁式
(朝日新聞)
【あす新市誕生】
合併で新・近江八幡市となる近江八幡市と安土町で19日、それぞれ閉庁式が行われた。昨春の合併協議スタートから約1年。この間、安土町民のリコール運動で首長と議会が解職・解散に追い込まれるなどの曲折を経て、両市町は20日、56年の歴史に幕を下ろす。 安土町では午後3時から閉庁式が行われた。
合併反対を訴え昨年10月の出直し町長選で当選した大林宏町長は、約70人の職員を前に「やり直しのきかない市町合併はよほど慎重であるべきだった」と、合併を推進した前の町政を批判。目に涙を浮かべながら「いったんは安土町最後の町長として終わるが、私は安土を取り戻すことをあきらめない」と締めくくった。
安土町56年の歴史を振り返る「安土の誇り」と題したスライドが上映されると、鼻をすすったりハンカチで目頭を押さえたりする町議や職員の姿も見られた。
大林町長の任期は20日で切れる。引き続き行われた退任式で「職員は、地方自治の主人公は住民であることを忘れてはならない。権力に負けず、しっかり住民に目を向けて」と、21日から新市の職員となる部下に向けて、最後の訓示をした。
一方、近江八幡市の閉庁式は午後3時半から市職員ら300人が集まって開かれた。
冨士谷英正市長が市政の歴史を振り返りながら「平成の大合併の最後を飾るべく、21日からは新しい近江八幡市がスタートする。全国に誇る有形無形の資産が、合併の相乗効果でさらに光り輝くものとなることを期待する」とあいさつ。ステージにつるされていた市旗が下ろされ、式典を閉じた。
合併初日の21日は、午前9時30分から市役所正面玄関で開庁式があり、10時45分から安土町地域自治区事務所・市安土町総合支所の開所式があり看板の除幕などがある。
近江八幡市役所西別館の玄関に掛けられていた「近江八幡市・安土町合併協議会事務局」の看板が19日、下ろされた。昨年4月1日に冨士谷英正市長と当時の安土町長、津村孝司氏が一緒に掲げ、看板の前で握手を交わしたが、この日は合併に反対する大林宏町長の姿はなく、冨士谷市長が一人で下ろした。
看板前に集合した事務局職員を前に、冨士谷市長は「この1年間は想定外のことばかりだったと思うが、それを一つひとつ丁寧に乗り越えられたことで、明日という日を迎えられる」と労をねぎらった。看板は歴史資料として市文化財整理室に保管される。
両首長が最後の公務 安土町と近江八幡市が21日対等合併
(中日新聞)
21日に対等合併する近江八幡市と安土町は20日、市や町として最後の日となった。同日付で任期が切れる冨士谷英正市長と大林宏町長は、行事に出席などして最後の公務に励んだ。両市町の職員たちも、土曜閉庁されたそれぞれの庁舎で新「近江八幡市」誕生に向けた引っ越し作業に追われた。
大林町長は20日朝、防災無線のマイクを握った。「安土町は本当にどこの市町村と比べても劣ることのない優れた生活環境と思いやりのある町です」と述べ、町との別れを惜しんだ。安土保育園卒園式に出席し、28人の年長児に祝辞を述べた。その後、大林町長は、町長室の書類や名刺などを整理しながら「皆さんのおかげで5カ月半の間、町長を無事務めることができた」としみじみ話した。安土町役場正面玄関のネームプレートは、作業員によって「近江八幡市安土町総合支所」に付け替えられた。
冨士谷市長は、市子ども会育成者大会に出席。4月25日に予定される新「近江八幡市」の市長選に立候補の準備もし、「未来に光輝くまちにしたい」と話した。
近江八幡市の職員は「新近江八幡市誕生まであと1日」と表示されたカウントダウンボードを市役所正面玄関から撤去。21日午前9時半から同庁舎で行われる開庁式の準備をした。