石部(いそべ)神社に伝わる重要文化財薬師如来坐像
=安土城跡内の石部神社に伝承 平安時代の重要文化財=
安土城考古博物館で展示されている「薬師如来坐像」
特別史跡安土城跡内に祀られている石部(いそべ)神社に伝わる重要文化財「薬師如来坐像」が里帰りし、県立安土城考古博物館で展示されている。六月十五日まで。
薬師如来坐像は、長らく京都国立博物館に管理委託されていたため、同神社で拝観する機会はなく、また、県内で公開展示されることもなかったことから、大変貴重な郷土の文化財であるにも関わらず、その存在があまり知られずにいた。
同博物館が開催中の春季特別展「安土城への道―聖地から城郭へ―」に合わせ、展示しているもので、里帰りしての一般公開は約三十年ぶり。
同坐像は、数多い近江の仏教彫刻の中でも平安時代の優作で、一本の針葉樹から彫り出されている。安土城築城の際にも撤去されることなく同神社で伝承されてきた。
像表面にのう衣(着衣)と台座にきり金文様(金箔を細かく切って貼り文様をつくる技法)が施された美しい繊細な作品で、造られた当時の台座と光背を完備している貴重な坐像として高い価値がある。
開館時間は午前九時から午後五時まで(入館は午後四時半まで)。入館料、大人八九〇円、高大生六三〇円、小中学生四一〇円。月曜休館。問い合わせは、同博物館(TEL0748―46―2424)へ。